【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「響さん。はいコーヒー」
「小川さんはお砂糖入ってるのと入ってないのとどっちがいいですか?」
「入ってるのをいただけますか」
「はいどうぞ」
「結衣、嬉しそうだな」
「だって、三浦さんが戻ってきたの。今、下で隼と司と3人で話してる」
さっきまでの様子と打って変ってご機嫌なのは
やっぱり三浦さんが戻ってきたことで心配がひとつ減ったから。
隼と司たちと戻ってきた三浦さんは、響さんたちに小さく頭を下げるとベンチに座り五郎ちゃんの手術が終わるのを一緒に待った。
さっきまでは1人だったので心細く不安で仕方なかった。
だけど今は、隼も響さんもそして司に三浦さんもいてくれるからすごく心強くなった。
そしてやっと手術室からお医者さんが出てきた。
急いでそこに駆け寄ると
「手術は無事に終わりました。詳細はのちほどご説明しますが麻酔から覚めたら病室の方へ移動しますのでそちらでお待ち下さい」
「五郎ちゃんは大丈夫なんですね」
「術後の経過を見ないことには100%とは言えないけれど恐らく問題ないでしょう」
「有難うございます。本当に有難うございました」
何度も何度もお医者さんに頭を下げてお礼を言った。
「隼、五郎ちゃん大丈夫だって」
隼の胸に飛び込んだ時には嬉しさで涙が止まらくなった。
「あぁ…怖かったよ…。あんな優しい人を神様が連れていっちゃうわけないのに。でもほんと怖かったぁ」
隼が私の顔のあたりまで屈んで
「泣き顔で平良に会うのか?またからかわれるぞ」
「いやよ。動けない五郎ちゃんに好き放題出来るチャンスなんだから」
私は急いで涙を拭いたけれどそれでもポロリと零れてしまうのは心からの安心感。
「組長に電話してやれ」
私は頷くと三浦さんと一緒にまた病院の外へ出てさぶちゃんに電話をした。
「さぶちゃん五郎ちゃん大丈夫だって。手術も終わってもうすぐ戻ってきます」
「そうか。良かった安心した。わしがそっち行くまで平良の事頼むとよ」
「まかせて。しっかり面倒みるから」
こうしている間に五郎ちゃんが戻ってきちゃうんじゃないかと気が気じゃなくて他のみんなには一斉メールを送って小走りで三浦さんと五郎ちゃんの病室へ向かった。