【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


「ところで若、結衣さんは、これから何をするおつもりで」


「察に潰したいやつがいるらしい」



「はっ 結衣さんがそれをなさるって」



「いやぁそうやって口にする事で怒りを発散して落ち着けてんだろうよ」



何か何だかわからない植木に隼が成り行きを語り始めると


「それでこそ結衣さんじゃごぜぇやせんか。察に啖呵切るとは立派なもんでごぜぇやす。そのやんちゃはもう目を瞑るしかねぇよなぁ」



「あぁ。平良も三浦も結衣がいるからだろ。黙ってたみてぇだしよ」


「おぅこうしちゃいられねぇ。あっしらはすぐに病院行って話しつめてきやす。結衣さんみたいに歌いながら行ってまいりやすよ」



「おい植木。お前楽しんでねぇか」



玄関先では、極道と言われる男たちの笑い声が響いていた。



由香里さんの部屋へ行くと私の顔を見た琉がすぐに抱けと腕をのばしてきた。



由香里さんもまた、琉を抱いた私を抱きしめ


「無事で良かったよ。怖い思いしたね」


「何であんなもの売ってるかね」


「いくら平良だって跳ね返せないわよ」


「うん。すごいいっぱい血が出てね。あの背中に矢が刺さっている姿が頭から離れない」



由香里さんに話すとまた涙が出てきた。



「平良は手術もうまくいって大丈夫なんでしょ」


「うんうん。五郎ちゃんと話してきた」



子どもたちの事は心配いらないから安心して病院に行くように言ってくれた。


響さんと一緒に隼が来て琉を抱くと私の腕をひいて部屋へと戻ろうとした。



「隼、琉をこっちに」



隼の腕に抱かれている琉を響さんが抱くと今度は本当に部屋を出た。



怒られるのかとドキドキしたけれど興奮していてわからないだけで疲れているから眠るようにと言われた。



素直にベッドに横になると隼も一緒に横になり、私をしっかりと抱きしめ、



「もう、何も心配するな。大丈夫だ」


髪にキスを落とすと少しも隙間があかないぐらいに引き寄せてくれた。


あっという間に瞼が閉じたから相当疲れていたみたいだ。






< 134 / 181 >

この作品をシェア

pagetop