【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち



誰が何色かって話になって


それぞれ合わせてみた結果


五郎ちゃんが赤、私が白 三浦さんが黒だった。



「主役は赤に決まっとるけん」


五郎ちゃんはベッドの中で嬉しそうにマフラーを巻いた。




私も三浦さんもクルッと巻いて



「ちょっと長かったかしら」



私にだけ言われたからもう一巻して大笑いだ。





そして、五郎ちゃんも一緒に歩いて玄関先までお二人を送った。



「本当にありがとうございました」



お互いがお礼を言い合いお二人を見送った。




3人でエレベーターに乗りながら設置してある鏡の前を奪い合うように立ち


マフラーの姿を眺めて自分が一番似合うと言い合った。




なんだかとてもステキな一日だったと思う。



五郎ちゃんという人をちゃんと見てくれたようで凄く嬉しかった。




嬉しさのあまり、帰宅した隼にそのマフラーを見せて話しをしたけど



「何で三浦と平良とお揃いなんだよ」


「え?」



チッなんて舌打ちするほど面白くなさそうで



「私と隼は一緒にグルグルって巻けばいいでしょ?」



横に座る隼の首にマフラーを巻き付けるとやっと笑顔になった。



「三浦さんに何か言ったらダメだからね?おばあさんからの気持ちなんだからね」



「あぁ」


「隼には、私が編んであげるから」



「いや、こうやって巻く方がいい」




これが冗談じゃなく本気なんだろうなと思うから、


それがとてつもなく可笑しくて、笑いが込み上げるから幸せなんだと実感した。





< 164 / 181 >

この作品をシェア

pagetop