【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
五郎ちゃんは3週間ほど入院し、あとは自宅で療養という事になった。
私は、飛行機に乗るには、気圧で肺が心配
新幹線ではあまりに遠いからダメだと猛反対した。
そんなわけで退院後検診が終わるまで五郎ちゃんは藤堂の家で療養する事になった。
家の中で出会うとピシッと姿勢を正す組員さん達だったが
五郎ちゃんは類を違わず迷子になった。
「お~い。わしはどこにおるとね」
その大きな声が聞こえると可笑しくて仕方ない。
「わたしが苦労したのがわかるでしょ」
「何でこんなややこしい家になっとるんばい」
私ではなく組員さんに救出されている事もある。
それでも恥ずかしそうな顔ではなく、堂々としている。
自分じゃなくてこの家が悪い。
そんな感じだ。
菫はトトロ五郎ちゃんがいてくれる事が嬉しくて
「六、六兵衛」
呼ばれれば自分であるとわかっているから返事をしていた。
「六兵衛はサムライになるとか」
「うん。サムライになる」
「それはよかとね。立派なサムライになるとよ」
笑われる事もなく応援し誉めてもらえてますます五郎ちゃんに懐いた。