【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


髪までアイロンでカールして久しぶりにマスカラまでつけた。



真っ白なモヘアのアンサンブルにタータンチェックのスカート。



足元はしっかりと極厚のタイツ。



最後は襟元にファーのついた黒のコートを着た。


菫に見つかると厄介なので、ソーッと玄関に向かいブーツを履くと


三浦さんはもう玄関で待っていた。



「組の事務所でいいんでごぜぇやすか」


「うん。そこから隼の車で行くみたい」


キョロキョロとしていると



「菫ちゃんは、桐生たちが冒険ごっこと言って奥へ連れていったので大丈夫でごぜぇやすよ」



「ちょっと後ろめたいんだけどね」


「たまにはいいじゃごぜぇやせんか。若が喜びやすよ」


そうなんだ。私だけじゃなく隼だって楽しみにしてくれてると思う。


子どもたちと一緒に出掛ける事もあるけれどどうにも落ち着かない。



何かをゆっくり見るというのは菫の興味をひいたものだけだ。


子どもが生まれてから、隼は本当にまっすぐ帰宅してくる。


それは、自分より一緒にいる時間が長い三浦さんと桐生さんに焦りを感じていると由香里さんは笑うが、そんな事よりも家族の時間を大切に考えてくれているんだと思う。



だけどそんな中で夫婦の時間を楽しむのもありだと思う




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