【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
組の前で車を降りると三浦さんは私が中に入るまで着いてくる。
「もー。ほんの数メートルじゃない」
笑いながら足を進めると
「結衣さん。今日はまた一段と可愛らしい」
「誉めてくれたから座布団5枚」
組員さんといつものふざけた会話を楽しむ。
「結衣」
隼が奥からコートを着て出てきた。
「もう、三浦さんが中に入るまで着いてくるのよ」
私が笑いながら言うと
「三浦の経験が生んだものだよな」
三浦さんの方を見て隼も笑う。
「へい。油断禁物でごぜぇやす」
隼と三浦さんもよく話すようになったなと私1人がほくそ笑む。
事務所を出ると三浦さんは家へと帰って行った。
以前であれば、一緒に行動したであろう。
だけど今は、隼が一緒だと帰っていくようだ。
「二人なの?」
「結衣ぐらい俺1人で問題ねぇよ」
「隼ぐらい私1人で問題ないしね」
これも、以前と比べてずっと心配が減ったから。