【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


身振り手振りで幼稚園であった様子を話す菫に私も思わず笑いが零れる。


「ダメな事はちゃんとダメって躾けてくださいね」


渡辺さんと三浦さんにお願いすると


「菫ちゃんはちゃんとわかってやっておいでですよ」


「あっしの姿が見えたらちゃんと立ち上がったでごぜぇやしょ」


「そうなんですよ。誰が来ても菫ちゃんはちゃんと立ち上がって会釈するんでごぜえやすよ」


「さっき会釈した?」


「してやした」


疑わしい目で見ていると門田さんが



「菫ちゃ~ん!」と甲高い声とともに食堂へ入ってきた。



どこからその声を出しているのかと笑いそうになりながら見ていると確かに菫は立ち上がり小さく会釈をしていた。


「いう通りでごぜぇやしょ」


「ほんとだ。びっくり」


私達に会釈をする門田さんに私も会釈をするとにこやかに菫のいるテーブルの方へ座り


慣れた手つきでティッシュをテーブルに置いた。



すると菫がみんなと同じ数だけおやつを並べ


「どうぞ」


「いただきやす」


「あはははは」


私は笑いが止まらなくなった。


「パチンコのやりがいがあるってもんっすよ」


「それ違うから」


お茶処結衣は今でも健在だがおやつ処菫も毎日賑わいを見せているようだ。






< 17 / 181 >

この作品をシェア

pagetop