【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


「子豚にする気?」


「もっと早く気づけ」


乱暴な言い方なのに優しさすら感じるのは


あの頃の瞳のままだから。



ワイングラスを持つ指先を目で追ってしまっていたのは



あの頃のまま恋をしているから。



心の中を読まれるのが何だか恥ずかしくて


後悔は後からやってくるってクスクス笑った。




食事が終わりコートを受け取る時にはちょっとだけすまして見せる。



そんな事も可笑しいようで知ったばかりの社長夫人の頭を店の入り口で撫でた。




「ちょっと」


「悪ぃ。つい」


スタッフの人も笑っているから恥ずかしい。



外へ出て歩きながら



「私は社長夫人は似合わないわね。やっぱり姐さんの方がしっくりくるわ」


「そうか?どっちもどっちだな」


「ひどい」



逃げる隼を追いかける姿は、シェパードとミニチュアダックス



離れすぎないのは、すぐに私を自分の元へ引き寄せるため。




「隼への想いは愛って言葉じゃ足りない」


小さく笑う私の髪に落とされたのは愛する人の優しい口づけ






「狂おしいほど愛してる」






耳元で囁くバリトンボイス



それだけで目が潤み


抱き寄せられた肩は熱を帯び


俯いた先に見える隼の靴先までも愛しかった。





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