【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「結衣ちゃんどうしたらいいの」
「え?」
「急に捕まらないように逃げろって言われたの」
私の両肩を掴み、救いを求めるような真剣な眼差し。
それなのに私は大声で笑った。
何が起きたのかわかったからだ。
あはははは
「明日実さん頑張って逃げて」
「結衣ちゃんってばーー」
「絶対捕まっちゃだめよ。司がいいって言うまで逃げるのよ」
「ほら来るよ。右に走り抜けて」
「え?右?」
明日実さんは右に向かって走りだした。
そう、そこにはきっと菫がいる。
「明日実ちゃんこっち」
「明日実ちゃんここに隠れて」
「明日実ちゃん早く」
貴裕さんは今回もあまり役に立っていない。
それでも、嬉しそうに家の中を右へ行ったり左へ行ったり。