【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「ほら結衣さんこっちは季節限定品でもいただきやしょう」
「さすが三浦さん」
私達のテーブルはマロンパイとかぼちゃプリンでお茶を飲んだ。
それから桐生さんへのべったりについて躰が震えるほど笑い
桐生さんもたまに対応に困り戸惑っていると聞いた時には足までバタバタと踏み鳴らしてしまった。
さんざん笑ってから
「琉が起きたかな」
立ち上がろうとすると
「姐さんが独占タイムを満喫してる頃だと思いやすよ」
「泣いたら渋々連れてきやすよ」
その言葉に大いに納得して私はまたゆったりと腰をおろした。
今夜の夕飯は何かを子どものように渡辺さんに尋ねていると携帯の音が聞こえ
三浦さんと桐生さんが同時に携帯を手にした。
組員さん達も話声がピタリと止まり二人の顔を見た。
当然ながら私も事の次第を察する事が出来たわけで二人に連絡が行くということは私と菫に関するわけだ。
「な…何…」
怖々と三浦さんに尋ねるといつもと同じ表情で
「外へ出ないようにと若からの連絡でごぜぇやすよ」
「外で何かあったってことよね?」
「心配する事はごぜぇやせんよ」
「わかりました。菫、部屋へ戻りましょう」
「はい」
湯呑をさげようとするとそのままでと言われ、一刻も早くこの場から菫を出した方がいいのだと理解した。
こういう時、菫は確かに愚図る事も我儘を言うこともなく素直にいうことを聞く。
小さいながらに何かを察知するのか繋いでいる手がいつもよりちょっと力強い。
「琉くん起きたかな。由香里さんのとこへ行こうか」
「うん」
最近幼稚園で覚えたという歌を一緒に歌いながら由香里さんの部屋へ向かった。