【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「菫が一緒だったから桐生のとこよ」
「小さくても女よね」
スパイのように家の中を移動していると
由香里さんと佐和子さんの会話が聞こえた。
急いで中庭へ出たけれど桐生さんの部屋の窓がわからない。
「結衣、そっちだ」
「どこ ここ?」
隼の声のままに動き急いでコンコンと部屋の窓をノックした。
「菫たちここにいる?バレてるよ」
「ついさっき出ていきやしたよ」
桐生さんの返事に安心して寒さで震えながらベランダを見上げれば隼が笑ってみていた。
「司は?」
「部屋を出たり入ったりしてる」
「懐かしいね」
「あぁ」
暦の上では春という頃、次の世代の花がまたひとつ実を結んだ。
菫のガイド付きということで明日実さんは無事に逃げ切った。
「な…なんなのこれ」
傘下の若頭にお嫁に来る人は誰もかれも知らずに走る。
「お風呂に連れていかれたらいっぱい入ってるし、もうお互いギャーッよ」
菫のガイドは危険もいっぱい。
「明日実、頑張ったな」
走る理由を百も承知の司は嬉しそうに明日実ちゃんを抱きしめていた。
「頑張ったのは菫じぇねぇか?」
「そうよ。菫が司のお嫁さんじゃない?」
「結衣、頑張ったのは明日実だ」
数年前の経験者は時を経て親となった。
ねぇねぇ三浦さんと五郎ちゃんのお嫁さん探そうよ。
だって極道のヒーローだよ
日本の極道 今日も明日も晴天なり。
さぁさぁ、どちらさんもお控ぇなすって!
~Fin~