【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


ノックをすると


「来ると思った」という声が聞こえドアを開け部屋の中へ入った。



予想通り独占タイムを満喫していた様子が伺えたが


「来ると思った」という言葉が由香里さんにも連絡が入っている事がわかった。



おそらく由香里さんはもっと詳細に内容を知っているであろうが、子どもたちもいるせいかそれを語ろうとはせずいつもと同じように振る舞った。



「結衣、顔が怖い」


由香里さんに小声で言われハッとして笑顔でいるよう気を付けた。


以前、由香里さんに私の動揺は子供たちに伝わると注意されたことがあった。


先程の話ではないが、極道で生まれ育った菫は、私よりもっと事に敏感なのかもしれない。



「早く琉と遊びたいな」


「そうだね。いろんな事を一緒にしたいね」



動揺してはいけないとわかっていても私の心臓はドキドキと大きな音をたて続けていた。



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