【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち




藤堂の傘下である澤村組の組長の娘である明日実さんが誘拐された。


明日実さんは繁華街のブティックに勤めていて

社割で買えると教えてくれたりバーゲン情報も教えてくれた。



去年も隼の誕生日プレゼントを選びに司と一緒に明日実さんのいるブティックへ出かけていた。



その明日実さんがどうしてそんな目に遭うのか、それは極道の娘だから何だろうか。


一度来た連絡では、要求が金品ではなく、ドラッグと言われるものだそうだ。



思わず、


「はぁ?」と大きな声を出してしまった。



組員が関与しているわけではなく、堅気の世界の人間が中途半端に悪の世界に足を踏み入れ真っ当な極道のお嬢さんを誘拐したという事だ。



この場合どっちが真人間かって話だ。



「澤村組は薬売ってるの?」


由香里さんが聞いたら薬局かってつっこまれそうだが他の聞き方がわからない。



「いいや売ってねぇはずだ」


「まだ見つからないの?」


「あぁ。極道が動いたわけじゃねぇから余計に厄介だ」


「警察には届けたの?」


「結衣…まぁ細かい事はいいから俺の言うことを聞け」


「うん」


「結衣も菫も一歩も外へ出るな。頼むから家でおとなしくしていてくれ」


「わかってるわよ」


「絶対だぞ」


「はいはい」



電話を切ってから切れた電話口に向かって


「まったくもって失礼しちゃうわ。私が何をすると思ってるのかしら」


それでも心配させた過去があるから一度スマホを睨みつけてから部屋を出ると三浦さんが立っていて



「大丈夫ですから何も心配せずおとなしくしていてくだせぇよ」


「わかってます。本当にわかってますから」


「見張ってたわけじゃありやせんからね」


その言葉には思わず吹き出した。


「いつも心配してくださってありがとうございます」


「何かわかったら必ずお知らせしやすから」


「お願いします」


頭を下げ由香里さんの部屋へ再び戻った。



「ママ見つかった?」


菫の問いかけに一瞬明日実さんの事かと思ったが、見つけて植木さんに渡してきたというと植木さんという名前に妙に納得したのか再びパズルで遊び始めた。






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