【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち



制服をハンガーにかけ今日は琉が寝ているので桐生さんたちに菫はお任せ。


無事に帰宅した事を隼にメールすると2階に活けてある花の手入れをして回った。



子どもたちが生まれてから花を活けに行く事はめっきり減ってしまったが何かある時には、喜んで訪問させていただいている。



庭に植えた紫陽花もずいぶんと大きくなった。



この家に来てからの月日が感じられる。


中庭を横切るために作ってもらったサンダル入れは今では菫のサンダルも並んでいる。



そのサンダルを履く用途は私と菫は微妙に違う。



菫はあくまでも私の真似をするために履き嬉しそうな顔で三浦さんの部屋のガラスをトントンと叩く。



廊下から組員さんの誰のところへもすいすいといけるのに三浦さんだけは仕来りのように中庭から声をかける。



「こんにちは」しか言わなかったり



「ママは大丈夫です」と生意気な報告をしたりするのに使っている。



当時は家の中で迷子になってしまうという私の苦肉の策の中庭を横切るという方法が少しばかり菫には羨ましくもうつるようだ。



三浦さんは他の人とは違う



そんな風に認識しているようで桐生さんは何歳になったらお庭から呼んでいいかとか何が出来るようになったらいいのかと植木さんに聞いたそうだ。



「一瞬面くらいやした」



植木さんは笑いながらその話を教えてくださり菫には


桐生さんの努力だけでなく菫も大人になって『信頼関係』という言葉が理解できそれが出来た時には許可すると答えたそうだ。



実際大人になった時にはその事すら忘れているか事実に気づいている事だろう。


それでも今の菫にはこの中庭にそんな夢と希望がある。





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