【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
お開きとなりみんなが帰ると
子どもたちを寝かせるベッドの中で隼は何かを考えているようだった。
「どうしたの?」
「いや、昨日今日の事で子供たちの事を改めて考えてな」
「どうにかなるわよ」
「結衣は強気だな」
「わからないからかも」
それは正直なところ。
私の何倍も隼は危機感を持ったであろうし
心配も大きいだろう。
事件に巻き込まれるという事だけでなく明日実さんや佐和子さんの言う極道である事を隠したいという気持をも理解するからだ。
今はどちらかというと無暗に菫が口にしないようこちら側が隠している。
それが成長とともに菫自身が隠すようになるわけだ。
「隼も隠したかった?」
「あの親父だぞ。隠しようがねぇよ」
それはそれでありのような気もする。
「苦労というか大変な思いもしてきたんだよね」
「まぁな」
それも当然だろう。
菫に同じような思いはさせたくないという親心が今の隼を悩ませている。
私がその事に関して心配じゃないのかといえばすごく心配だ。
傷つくことがあるんじゃないかとか考えればきりがない。
だけどこの場合転ばぬ先の杖はない気がする。
転んでしまった時の応急処置の方がずっと大事で事件に巻き込まれないように護る事は出来ても人との関わりの中では、傷つく事も成長過程では必要だ。