【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
花とサムライ
それからも小競り合いはあるけれど大事には至らず
全国の組長さんたちの統率力の素晴らしさを感じている。
そのお蔭で今も私は自転車で出かける事が出来る。
子どもたちを乗せられるようにしたいと言ったがそれは全員一致で反対をうけた。
「つけるなら結衣の自転車も没収だ」
「つけません」
桐生さんの自転車であろうと三浦さんの自転車であろうと
後ろに乗せていては守り切れないという一般ではない万が一の状況下ゆえの反対理由だ。
「前は?」
「菫を乗せて結衣は前が見えんのか?支えられるのか?そもそも危ねぇだろ」
確かにそうだ。
自信があるとは言いきれない。
菫は補助輪のついた自転車を敷地内で乗ることで満足している。
「結衣より聞き分けがいい」
隼はそういうがおそらくさり気なく組員さんたちが菫に危険である事を話したり暗示をかけたんだと思う。
私が三浦さんと自転車で出ようとすると菫はきまって
「外で乗るのは危ないから気を付けないとダメだよ」
「はーい」
「みーさんの言うこと聞かないとダメなんだよ」
「わかってるわよ」
どんな危険地帯へ行くのかと思うほど菫は心配な顔をして見せる。
「怪獣が出るとか言われたのかな」
三浦さんに笑いながら聞くと
「言われるなら忍者とか刺客じゃございやせんか」
「あははは。確かにそうかも」