【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
目的の買い物をすませるとラフルールに寄り花の配達を頼んだ。
私が極道へお嫁に行った事はすでにバレている。
それでも藤堂の家もずっと前からのお得意様で私が極道なわけでもない。
誰も働いていた頃と接し方が変わらないでいてくれる。
「結衣ちゃん和バラどうだい」
「結があるね。これは?」
「陸ほたる。綺麗だろ」
「いいね。結と陸ほたるに決めた」
自転車で行く姿も何ら気にも留めないのが普通の世界。
驚くのは極道社会の住人たちだ。
再び自転車に乗って漕ぎだすと
「また、花屋で働きたいですかい」
後ろの三浦さんからの問いかけだ。
「そうねぇ。そこまでは望まないけどまた花を活けには回りたいな。繁華街の飲食店とかすごく楽しかったのよね」
「菫ちゃんはお花屋さんとは言わなかったですねぇ」
「そうなのよ。花より団子ならぬ花よりサムライらしいからね」
「そういえばさ、三浦さん」
「へい」
信号で止まった時にふと気づいたことを口にした。