【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
それは、三浦さんはお休みをとっていないということだ。
私がいる限り三浦さんにはお休みがない。
夏休みも冬休みもそれどころか1年365日私がいる限り三浦さんは働くわけだ。
私がどこかへ行ったとしてもそこにはやっぱり三浦さんがいるわけで
労働組合があったら訴えられて当然の状態だ。
「休んでおりやすよ」
「休んでないわよ」
「休んで家にいるのと同じだからわからないんでごぜぇやすよ」
そうなんだけどそれはやっぱり気の毒だ。
自転車ではいけない電車の距離に彼女さんがいるって言ってた。
彼女さんと旅行でも行けばいい。
一週間ぐらい外出しなくても平気だし家の中で手がかかるって言われたら恥ずかしいけどそれなりに暮らせるようになったから何も問題がない。
だから、彼女さんと旅行に行ってきてって言ったけど
「いや、気にしないでおくんなせぇよ。必要な時はお願いしやすんで」
「じゃあさ彼女さんと住めば?私ばっかり独占してたらフラれちゃうよ」
まるでおせっかいなおばさん状態で三浦さんを説得したけど
「もう別れたんでごぜぇやすよ。結衣さんそんな事言わせないでくだせぇよ」
「えっ私のせいじゃない。ごめんなさいどうしよう」
「違いやすよ。国に帰ったんでごぜぇやすよ」
「日本人じゃなかったの?外人さんだったなんて知らなかったわ」
「結衣さん、地方ですよ。地方に帰ったんでごぜぇやすよ」
「いつまでも結婚しようって言わないからよ」
私のお小言を後ろで笑っているのがよくわかる。
でも言いたくなるぐらい心配だ。