【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
挟みを持って玄関へ行き買ってきた和バラを挿した。
「また変わった花でごぜぇやすね」
「これは結ね。飾ったことあるでしょ。こっちは陸ほたるって言うんだって。綺麗よね」
最近はお任せで届けてもらっていたので自分で選んだ花を飾るとまた楽しさが違う。
和室にも活け終わる頃には、鼻歌まじりだ。
切りくずを集めクルクルッとまるめていると
「結衣さんお茶いれやしたよ。花みながら大福いただきやしょう」
植木さんがお茶を入れてくれた。
「うわっ植木さんがお茶を入れてくれたの?」
「あっしが入れた不味いお茶ですがね」
ガラッと襖が開き
「聞こえたわ。その不味いお茶に誘われたの」
「由香里さん、植木さんのお茶もそこそこ美味しいですよ」
「そこそこ…あはははっ。植木そこそこだってよ」
三浦さんも入ってきて
「琉坊ちゃんを連れてこようとしたんですけど島田と遊んでくれてたんで置いてきやした」
「島田が遊んでもらってんのかい」
由香里さんは笑う。
三浦さんも少し笑いながら
「へい。島田の方が喜んで大笑いしてやす」
なんて平和で穏やかなんだろう。