【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
着替えの為に部屋へついていくと今日も夢の希望にあふれるフリフリ系には目もくれない。
伸ばして2つに結んでいる髪が頭の両サイドで忙しく動いている。
くせッ毛なのは私の遺伝なんだろう。
クルンッとカールした髪だけが唯一私に似ているところ。
隼に似た目鼻立ちは、親ばかぶりを発揮するなら
絶対的に美人になると思う。
羨ましいぐらいだ。
現在のところ菫は小さいくもなくごく普通だ。
いや何、私だって若干サイズが控え目なだけで生活にたいして不自由はない。
背の高い人が不自由を感じる事と同じ程度だ。
一緒に出掛けた隼と司が
「痛っ」という頭をぶつけた声を聴くと
高いなりに不自由があると知ったわけだ。
「結衣には一生わからねえ危険地帯だな」
「上空は危険なんだよ結衣」
「そうね。うちの両親はそれを案じたんだと思うわ」
相変わらずの会話だけれど
「菫は標準サイズってとこかもな」
この話題は、全員一致する。
ここで安心顔をするのは私だけでいいはずなのに、隼と司までホッとされると不満のひとつでも言いたくなる。
「あ、結衣も標準だよな」
「そうだな。標準より若干コンパクトなだけだよな」
棒読みのセリフで私の口を塞ぐ。
そんな菫が、桐生さんに言われて以来、洗濯機の中へきちんと入れてから食堂へ行くようになった事は驚きだ。
私が何度も言うより効果てきめん。
菫と一緒に下りると私は和室へ菫は食堂へとかけていった。