【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「おい、しっかり持ってろよ」
「へい」
隼は掴まるといとも簡単にクルッとあがった。
「あら、出来たんだ」
私は慌てて菫のそばへ行くと口を塞いだ。
間違っても響さんの名前を言わせない為だ。
罪がない発言だからこそ罪深い。
それなのに
「俺もやってみるか」
自ら名乗り出てしまった。
笑っているのは、隼と由香里さんだけで組員さんたちも顔がひきつっている。
「いや、パパ、パパじゃ重くて組員さんたちが支えきれないよ」
「そうでごぜえやすね。怪我でもされたら大事でごぜぇやしょ」
植木さんのナイスフォローだ。
「そうか?じゃあ菫、今度公園でやろうな」
響さんは菫と手を繋いで仲良く玄関へ向かった。
「汗が出たわよ」
「助かりやした」
「親父、出来ると思ってんだな」
「若、お出来になるんですよ。想像の中では…そんなもんでごぜぇやす」
あはははは
組員さんたちも戻ろうとしていたが由香里さんが
「私、明日から練習するから付き合いなさいよ」
「へい」
勢いよく指示した由香里さんだが、おそらく明日は筋肉痛だと思う。
だからきっと練習はないと私も組員さんたちも思った事は内緒だ。
琉と遊んでいる島田さんを探して長々と遊んでいただいたお礼を言い
隼の着替えを手伝いに部屋へ戻った。