【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


「ありゃねーわな。ひでーもんだ」


響さんがそんな止めを刺すから


「意地でもやる」


由香里さんが言いきった。




私は慌てて菫の耳に


「縄跳びにしようっていって。菫ももっと出来るようになりたいでしょ」


私の顔を見た菫は何度も頷いて


「逆上がりじゃなくて縄跳びしたい」


「そうね。縄跳びも難しいね」


「縄跳び?菫は今度は縄跳びなの?」


心なしがちょっとホッとしたような声の由香里さん。


「前飛びしか出来ねぇから交差飛びとか教えてやって」


「菫、ばーばは二重飛びも出来るんだよ。教えてあげるからね」


由香里さんは、自らハードルをあげてしまった。


でも、二重飛びの練習の方がずっと心配がないので、


「ほら見てごらんなさいよ」


由香里さんが言う日を楽しみにしようと思う。


もしかすると、本当に出来るかもしれない。


実のところ私は菫に前飛びを教えている時にやってみたら2回しか出来なくなっていて必死になってしまうのは私かもしれないと思った。





それからは、玄関に飾られた花の前を駆け抜けるのは縄跳びを持った菫の姿。



休みの組員さんたちの手にも色とりどりの縄跳び。


描かれる輪のひとつひとつが花びらのようだと思う私と訓練の時間という菫



感覚は違えども、これが藤堂組若頭の 妻と娘だ。







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