【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


明日実さんの仕事が終わる時間に迎えに行くのは、今日は私と春香さん。


河本さんの運転で明日実さんのブティックに向かった。


「ねぇ。紗香ちゃんは家の事を不思議というか何か口にしたりしない?」


「子どもなりに感じるみたいで聞いてくるよ」


「そうだよね…」


「それって私が子どもの頃に抱いた事だから紗香には上手い事伝えられてると思う」


確かに春香さんは司と親戚なのだから子どもの頃からこの世界と接触があっただろう。


「紗香と菫ちゃんの間でも秘密があるらしくてね」


「そうなの?全然知らなかった」


「菫ちゃんなりに考えてるのよ。紗香の疑問がアブノーマルな内容と経験から知った菫ちゃんはそれは2人の秘密というらしいの。だからその内容を紗香もなかなか教えてくれないんだけど餌ぶら下げて聞き出すわけ」


「例えば?」


「刺青のこととかね」


「あぁ」



菫は、私が悲しむ顔を見たくないんだと春香さんは言った。


「結衣がみんなの事をどれだけ大切にしているか菫ちゃんはわかっているのよ。当然自分もどれだけみんなに大切にされているかもわかってるの。それに隼の事だって誰よりもステキなパパだって思ってるしね」



「なんて出来た娘なの」


「ほんとよ。泣けてくるでしょ」



後ろで笑いながら話している私達に運転していた河本さんが


「すいやせん。聞こえてきた話にあっしが泣きそうでごぜぇやすよ」


「泣かないでちゃんと運転してよ」


笑っていたが実のところものすごい感動していた。


胸がジンとして涙がにじんだぐらいだ。


春香さんが笑い飛ばさなければ涙が零れおちたと思う。





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