【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
ブティックの前に車が止まると
「それでも菫ちゃんも彼女と同じように極道というものを嫌がる日が来るかもしれない」
春香さんの言葉に否定は出来ない。
「それは、仕方ねぇ事でごぜえやすよ。あっしらも覚悟してやす」
「そんな淋しい事を言わないでよ」
店から出てきた明日実さんに手を振ると笑顔で車に乗り込んだ。
春香さんと明日実さんは初対面。
大和さんと春香さんの繋がりというか家系図を話すと当時の私には理解が難しかったのに
「なるほど。藤堂と龍崎ってほんと縁が深いね」
その通りなんだ。
それぞれの人間の関わり方を書くとものすごい縁だ。
私と春香さんは職場での先輩後輩として出会った。
それでも辿りつく先は藤堂と龍崎だ。
BRILLIAの前に車がつくと河本さんにお礼を言って私達は3人で久しぶりにあの重厚なドアを開けた。
店内に響き渡る音楽も通路の脇の水槽も懐かしさを感じる。
ボーイの人はあのころとは変わっていて春香さんの事は知っていても私達の事は知らない人だ。
「すごいね」
「会員制なんでしょ」
「そうなのよ。明日実ちゃんも顔パスになるよ。でも私の場合1人だったら今日はもう入れてもらえなかったかも」
そう思うぐらい久しぶりに訪れた。