【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
みなさんがいらっしゃる日は私だけじゃなく菫も早起きをして
幼稚園すら休むというほど待っていた。
それでも、
「菫ちゃん行きましょう」
桐生さんの誘いを断るという事は菫の辞書には載っていないらしい。
幼稚園に送っている間にお見えになるかしら。
私はやっぱり気もそぞろだ。
幼稚園から家に戻った時には組員さんたちにみなさんが着いてると聞いて慌てた。
「どのぐらい前?もうお茶出しちゃった?」
「今ですよ。急げばお茶出しできるんじゃねぇですか」
私は駆け足で食堂へ。
「結衣さんが間に合った」
渡辺さんが笑っている。
お茶を入れてどこの部屋か聞いてから気持ち速足でみなさんのいる部屋へ向かった。
「失礼します」
襖をあけると待ち焦がれた顔が並ぶ。
「遠いところをご苦労様です」
お茶を出しながら簡単なご挨拶程度の会話。
五郎ちゃんがニヤニヤしているから私もにやにやしてしまう。
遠山さんのほっこり笑顔にはほっこり気分をいただいて
奥野さんの姿には、つい言葉をかけたくなってしまう。
それでも話し合いの為に来たことがわかるので
「のちほど」
それを言っただけで部屋の中にいた全員が大笑いだ。