夏色かき氷【短編集】
100円の幸せ
帰宅部。
部活やってるヤツらにはうらやましがられるけど、俺は、今の生活が嫌いだ。
これでも、中学の頃はバスケ部で活躍してた。
でも、中3の春、肩を痛めてから、バスケは辞めるよう医者に言われた。
運動のできない俺に、何があるんだろう?
小学生の頃から、バスケが大好きだった。
体を壊しても、バスケ部に居続けたかった。
現実はそれを許さなかった……。
やることのない放課後。
何気なく寄ったコンビニ。
カウンターで売られている肉まんのケースに目が行った。
トマトをふんだんに使ってるという、新種のチーズまんに目がいった。
《トマト主義》という名前に引かれ、なんとなく買ってみる。
帰り道、食べつつ歩き、俺は驚かずにいられなかった。
これは、チーズまんではない。
トマトまんである。
濃厚なトマトソースの奥に、チーズのコクが広がり、なんとも言えない。
感動だ。
バスケ部での日々を忘れられなくて、部活生活を離れてからはつまらない生活だと思ってきたけど。
まだまだ、人生捨てたモンじゃない。
明日も、あのコンビニに寄ろう……!
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