発車の汽笛。


立ち上がった僕の後で、彼女が立ち上がる。

寒さはいっそう増していて、彼女が風邪でも引いたらとそんなことが頭を過ぎる。


開いた扉へ乗り込んだ。

振り返れば、伏せ目がちに下唇を噛み締める彼女の姿。


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