掌編小説
以上で今日の放送を終わります。」
柔らかく、優しく響く低い声。
初めて聞いたときから耳をはなれない声。
初めて心がときめいた声。
放送をするのは3年生。
だからこの声の持ち主も3年生。
あなたの顔も、もちろん名前もしらなかった。
ある日ふらり、と屋上にあがる。
「〜♪〜♪〜♪」
あの放送と同じ声がきこえた。
初めてきく歌。
優しくて、それでいて切ない歌。
歌い終えて振り向いた君。
「あれ。初めまして。
きかれちゃった?恥ずかしいな。」
少し顔を赤らめて頭をかく君に
心がはねるのを感じた。
きっと、これは、恋。
ーENDー