掌編小説
「こんばんは。遅くにすみません。
…君はいますか?」
「あら、久しぶり!
ちょっとまってね。」
久しぶりに君の家を訪ねる。
私服が見れるのなんて、いつぶりかと少し胸をはずませながら。
「よお。何?」
黒と白を基調としたシンプルな服装。
「久しぶり。えっとね…」
話しながら近所の公園に向かう。
隣に立つと君の身長が伸びたことがわかる。
少しさびれたブランコにのり、かるく前後にゆらす。
その隣のブランコに君は腰掛ける。
「…がね、…なんだ。
…はどう思う?」
「ん?あー、…じゃね?」
「やっぱり?」
たわいもない話をとりとめもなく話す。
不意にキイっと音がして隣のブランコが動く。
「なぁ」
「何?」
「俺、お前のこと、好きかもしんねー。」
ポツリ、と呟かれた言葉。
その言葉の意味を理解したとたん、周りの音が消える。
犬が吠えていたのも。
風に葉が吹かれる音も。
横をむくと君は夜空を見上げていた。
つられて空を見上げる。
「…返事してほしい?」
「…嫌なら別にいいんじゃね?」
流れ星が1つ、夜空をすべっていった。
ーENDー