世界に幸せの旋律を。~君と私が綴る物語~
「へへっ。メロね、この本大好きなんだー!!」


そう言いふわっと微笑む少女の隣に、その女性はゆっくりと腰をつく。


「そうねぇー、でも凄く悲しくて残酷なお話よ…」


そう呟く祖母の声は少しだけ震えていて。

少女を眺める祖母の瞳は少し目尻が下がり、微笑んでいるつもりなのかもしれないが…表情は決して良いとは言い難い。


「悲しいーの?ざんこーく?でもばぁば、この本最後は良いお話だよー?」


そして幼さを理由としても、人より少しだけ空気の読めなかった昔の私は平気で意見を口にする。

あと、多分だが良いお話とはハッピーエンドの事だと思う。

本当に当時の私のボキャブラリーの少なさは恥ずかしい…。

が、少女の言う事も正しい。

あれから11年たった今でもこの話の最後が悲しい…と感じた事は今までない気がする。
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