籠のなかの小鳥は
視界に緋色の衣がかぶさったと思うや、
「きゃっ」抱き上げられて、思わず悲鳴が口からもれる。


「帰るぞ、長居は無用だ」
蘇芳があごをしゃくる。


「ぁ・・・」

ぼぅ、と橙の光に包まれたと思ったら、蘇芳の腕の中にいながら、巨大な朱い鳥の上にいた。
これが、彼の番(つがい)。

その大きさ、力強さ。枢(くるる)も鳥の姿をしているけれど、及ぶべくもない。
朱い鳥が大きく羽ばたいた。煌めきわたる、その輝き。


二人を乗せて、軽々と飛翔する。気づけば、他の三人もそれぞれ自分の番に乗っている。それぞれに輝きを放つ、三体の獣に。


連れていってやるよ、
小鳥を抱いて、蘇芳がささやく。

おまえがいるべき地に。


わたしがいるべき・・・・———
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