籠のなかの小鳥は
「ぁっ・・・」
砂利に足をとられてよろける。

足が痛くなってきた。履いている女性用の沓(くつ)は、歩きにくいことこの上ない。

黒いなめし革でこしらえてあり、見た目はいかにも上品だが、実用性はゼロだ。スニーカーが恋しくなる。


お手をどうぞ、歩きにくいでしょう。
隣からすっと手が差しのべられる。


「あ、ありがとうございます」

しなやかな、その手をとった。


手をとり合って歩く二人を、昼なお深い青葉闇が包んでいた。
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