籠のなかの小鳥は
「——よろしくないのは、その左大臣殿に我々も抗することができずにいることですね」

親王が四人いても、臣下の左大臣の弁をくつがえせない。

「帝の后の父君ということもありますが、それ以上に———」


番の一族の権威は、すっかり弱体化してしまった———珀斗は口に出さずに嘆く。


「俺が取り戻す」
蘇芳が低く、力をこめてつぶやく。


「左大臣殿はあわよくば、帝の后である自分の娘の生んだ皇子を、東宮に据えようとしておられる」


「あの六歳だかの皇子は、番をもっておらんぞ。我が兄によく似た、意志薄弱そうな面をしているわ」


「そこで左大臣殿の弁ですよ。
番の一族はその役目を終えた。人の世は人の手に戻すべし、とあちこちで触れて回っているようなのです」
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