籠のなかの小鳥は
くすくすと笑う声。

小鳥をはさんで向き合う昴と蘇芳を、青波がすこし離れたところから見ている。

「相変わらずだなと思って」

「まことに。なんだか安心いたしました」
と珀斗。

これで安心されても困るものが、約一名。


皇女は昴と蘇芳のあいだにお座りになったらいかがですか、と珀斗がうながす。
「今宵の月は、本当にきれいですよ」


欠けるところのない満月なんて望んだりはしない———

蘇芳と昴に交互に酌をしながら、思う。


すこし満ち足りなくてもかまわない。それでもどうか、誰にとってもやさしくまぁるい幸せのかたちを———と願ってしまう。


どうかこのまま・・・・


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