籠のなかの小鳥は
たしかに、と珀斗はいったん首肯したが。なれど、と続ける。

「我らの存在は、たしかに特別です。我々も皇女も、唯人ではない。唯人が持たない番をもち、能力を有する。
ですが、特別ということは異端と同義でもある。
少数の異端者がたどる運命は、故事に学ぶまでもないでしょう」



番をもって生まれた故の宿命(さだめ)。


「今はまだ民の心は番の一族から完全に離れてはいない、が———」
昴が言葉を切り、昏い(くらい)視線を落とす。


「二代続く愚帝のために、我らの立場は揺らいでいる」
蘇芳が言葉を引き取る。


「そこへもってきて、西国の戦か」と青波。


ああ、と蘇芳が低くつぶやく。
「西国の各国司からの報告書簡に目を通したが、戦況は想像以上に深刻だな。砦が落ちるのも時間の問題だ。
うかうかしていれば都まで攻め入られるか、屈辱的な従属関係を突きつけられるか」


もうお気づきでしょうが、と珀斗。
「西国の国境の守備にも、必ず手薄なところが出てくる。敵軍は的確にその穴を衝いている」


その答えはひとつしかない。
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