籠のなかの小鳥は
小鳥はわれ知らず、立ち上がる。


「籠森さんっ!?」
古典教師の呼びかけを背に、足が走り出す。

「どこに行くのっ」

教室を飛びだす小鳥の耳に、
「どーせ、空想のオトモダチに呼ばれたんじゃん?」
嘲笑まじりのささやきがかすめる。


気にしている余裕などない。
彼らが———来るのだ。それは決定事項。

ここにいてはだめ。


どこへ、どこへ向かえばいい?


階段を駆け下り、玄関ホールを抜けて、石畳をまろびながら駆けて駆けて———
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