籠のなかの小鳥は
第七章/黎明の鳥



開戦———

にわかに宮中が慌ただしくなった。小鳥の身辺もしかりである。

覚悟をもって開戦の報せを受けとったつもりの小鳥だったが、皇子たちの出陣には耳を疑った。


「なぜ、なぜ宮様方まで戦地に赴かなければならないのです?」
すがるようにかづらに問う。

おぼろげな日本史の知識を総ざらいするが、そんな例はあっただろうか。

ヤマトタケル? はほとんど神話の人物だ。

一説によると、敏達天皇の子、竹田皇子は、蘇我氏と物部氏の戦いで負った傷がもとで亡くなったそうだけれど。
あくまでも従軍であり、前線に立ったわけではない。


姫様、とかづらが悲痛な面もちで告げる。

「大和国の興亡は、この一戦にあるのでございます。
そして、番の一族の命運もまた」


胸を刺されるような痛みが走る。
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