籠のなかの小鳥は
ジャリ、と硝子の破片を踏みしめる足音。


———生意気に、身を隠す術ぐらいは使えるみたいだな

堂内に声が響き渡る。

ベンチの陰にうずくまっている小鳥にかろうじて見えるのは、ベンチの脚と床のすき間からのぞく、緋色の裾。いらいらと歩き回る。


———蘇芳(すおう)、日嗣の皇女にそのようなもの言いは
とがめるような声。



———おびえて、身を隠しているんだろう
低いつぶやき。


———どこにいるのかなぁ・・・

また違う声が、そこに重なる。
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