籠のなかの小鳥は

左大臣殿、口を開いたのは蘇芳だ。

「これは戦。常のこと、ではすまされぬ。
現に戦況は悪化し、軍は疲弊し、民は苦しみ死んでいる。
事態を変えるなにか、我が軍を不利にするなにかが起こっている、とそう考えるのが道理であろう」


言いながら、一同にゆっくりと視線をめぐらせる。

いつもの緋の狩衣姿。

狩衣はその名のとおり、もとは狩りのときなどに着用する装束だったが、活動的なことから日常着になったものだ。

元作業着、後に普段着といえば、現代の感覚でいえばジーンズに近いだろうか。

いくらブランドものでも、ヴィンテージ品でも、ジーンズはジーンズ。織や染めが最上であっても、狩衣は狩衣だ。
国会の場にジーパンで出席する。