籠のなかの小鳥は
それを通してしまえるのは、日嗣の皇子をおいて他にない。

装束の格式もしきたりもないがしろにできるほどの、地位と輝きと奢りを狩衣にまとって、朝政の場に座す。

さすがにそこまで大胆なのは蘇芳だけで、他の三人は、直衣装束に身を包んでいる。


「さりながら、北の国においては凶作による飢饉の報せがあり。
国防もさることながら、租税の徴収がままならねば、国事は立ちゆかず。
西国への出兵はいましばし時をみて、と申し上げる次第であります」
と、左大臣の弁だ。


西国に出兵すべしという皇子たちと、北方の凶作の対策を優先すべきという左大臣とで、意見は対立した。

口を差しはさもうという者も、帝に奏上しようという者もおらず、結論をみないまま、昼過ぎに散会となった。
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