籠のなかの小鳥は
ひめみこ、と青年は小鳥を呼んだ。『皇女』と。

「皇女、我ら四皇子、迎えに参りました」


ひめみこ、迎え・・・もつれる思考は言葉にならない。
分かるのは、ただひとつ分かっているのは、彼らが自分と同じ番(つがい)を持っているということ。


「おまえ、口がきけないのかよ?」
蘇芳(すおう)が苛立った声をあげる。

びくりと身をすくめる。

「事態が飲みこめないのでしょう。突然のことですから、無理もありません」

「そうそう蘇芳くん、女の子には優しくしないと。おびえちゃってるじゃない」
後ろにたたずむ青い装束の少年だ。


ふん、と蘇芳がそっぽをむく。
< 8 / 247 >

この作品をシェア

pagetop