ラブゲーム
そろそろかな。
俺は頃合いを見計らい、パソコンを落として帰り支度を始めた。ちなみに周りの連中は少し前にみんな引き払っている。急遽話がまとまった飲み会のためだ。
もちろん飲み会は断った。「用事があるから」と言って。なぜかいつも飲み会メンバーに加わっている上原が、「どんな用事なの?」と言って食い下がったが、「やぼ用だよ」と言ってごまかした。本当にごまかせたかは分からないが。
エレベーターで1階へ降りたら、玄関前のロビーに、濃紺のスーツを着た、スタイルが抜群にいい女性が姿勢正しく立っていた。桜井さんだ。
待たせないように早めに出たつもりだが、しくじってしまったようだ。
「お待たせしました」
「ううん。それより、いいの?」
「はい?」
「今日は職場の飲み会なんじゃないの?」
あちゃー。桜井さんは上原たちが連れだって会社を出るのを見たに違いない。という事は、上原も桜井さんを見たって事だよな?
ばれたかもしれない。俺の"用事"の相手が桜井さんだという事が。いや、間違いなくばれたな。ま、別に構わないけれども。
「あっちは急に決まったからいいんです」
「そう?」
「はい。ところで、どこへ行きましょうかね?」
と俺が聞いたら、
「どこでも」
と、投げやりな返事が返って来た。前から思ってたが、桜井さんって毒舌キャラだよな。はっきり言って、可愛げがない。今まで付き合った彼女にはいないタイプだ。
先が思いやられるな、と思ったのだが……
「三浦君に付いて行くから」
桜井さんは小声でそう言い、頰をほんのり赤く染めた、ように見えた。
俺は頃合いを見計らい、パソコンを落として帰り支度を始めた。ちなみに周りの連中は少し前にみんな引き払っている。急遽話がまとまった飲み会のためだ。
もちろん飲み会は断った。「用事があるから」と言って。なぜかいつも飲み会メンバーに加わっている上原が、「どんな用事なの?」と言って食い下がったが、「やぼ用だよ」と言ってごまかした。本当にごまかせたかは分からないが。
エレベーターで1階へ降りたら、玄関前のロビーに、濃紺のスーツを着た、スタイルが抜群にいい女性が姿勢正しく立っていた。桜井さんだ。
待たせないように早めに出たつもりだが、しくじってしまったようだ。
「お待たせしました」
「ううん。それより、いいの?」
「はい?」
「今日は職場の飲み会なんじゃないの?」
あちゃー。桜井さんは上原たちが連れだって会社を出るのを見たに違いない。という事は、上原も桜井さんを見たって事だよな?
ばれたかもしれない。俺の"用事"の相手が桜井さんだという事が。いや、間違いなくばれたな。ま、別に構わないけれども。
「あっちは急に決まったからいいんです」
「そう?」
「はい。ところで、どこへ行きましょうかね?」
と俺が聞いたら、
「どこでも」
と、投げやりな返事が返って来た。前から思ってたが、桜井さんって毒舌キャラだよな。はっきり言って、可愛げがない。今まで付き合った彼女にはいないタイプだ。
先が思いやられるな、と思ったのだが……
「三浦君に付いて行くから」
桜井さんは小声でそう言い、頰をほんのり赤く染めた、ように見えた。