ラブゲーム
 それはもちろん"何者"なんかではなく、ふゆみさんだった。

「眠ったフリしちゃった」

「もう、おどかさないでよ……」

「これ、飲んでいい?」

「どうぞ」

 ふゆみさんに、こんなお茶目な一面があるとは知らなかった。びっくりしたけど、可愛いなと思ってしまった。

 ふゆみさんはゴクゴクとスポーツドリンクを飲み、「はい」と俺に手渡し、俺もゴクゴクと……

 初めての間接キス、なんてね。

「寒いから、入って?」

 そう言って、ふゆみさんは俺が入りやすいように掛け布団を半分剥いだ。その時、ふゆみさんのピンクのネグリジェが見え、それも十分魅惑的だが、脱いでいてくれても良かったかな、と思ってしまった。

「いけねー。エアコン付けるの忘れた」

「いいんじゃない? くっ付けば、暖かいよ」

「そ、そうだね」

 では、って感じで俺はバスタオルを横に置き、ふゆみさんと向き合う形で布団にはいった。するとふゆみさんは、

「きゃっ」と、小さい悲鳴を上げた。

「どうかした?」

「三浦君、ハダカなの?」

「今ごろ?」

 ふゆみさんは、どこを見てるんだろうか、と思ってある事に気づいた。

「ふゆみさん、眼鏡は?」

 ま、今夜はアレをするだけだから、眼鏡は掛けなくていいんだろうとは思ったが、一応聞いてみた。

「さっき、着けたの」

「着けたって、ブラ?」

「バカ。コンタクトよ」

「コンタクト? 眼鏡はやめるんだ?」

「うん。まだ慣れなくて、目がゴロゴロするの。ねえ、私の顔、変?」

「ぜんぜん変じゃないよ。むしろ可愛いと思うよ?」

「ほんと? うれしいなあ」

 なるほど、コンタクトね……って、あれ?

 コンタクトについては何か意味があったような気がするが、何だったかな。
< 41 / 92 >

この作品をシェア

pagetop