ラブゲーム
 楽しくも何ともない同期会がようやく終わり、俺は早々に帰ろうとしたのだが、

「三浦君、この後、いいかな?」

 速水から声を掛けられてしまった。

 ああ、そうだった。俺はこいつと話したかったんだ。ラブゲームなんてふざけた事を、なぜ言い出したのか、それを問い詰めるために。

「ああ、いいよ」

 俺がそう答えると、

「俺も一緒させてもらえないか?」

 近くにいた田所が言った。

「田所君は、口堅いかな?」

 すかさず速水が問うと、

「ああ、堅い堅い。ダイヤモンドより堅いぜ」

 と田所は応じ、速水はフッと笑った。

「それなら、いいでしょう」

 そこへ上原と岡野がやって来た。

「ねえねえ、二次会? あたしたちも行くー」

 すると速水が、田所と同じ質問をした。

「君たち、口堅い?」と。

 上原と岡野は、「へ?」とか言い、互いに顔を見合わせた。そして、

「あたしたちは帰るね。お疲れさまでした!」

 と言って去って行った。あの2人は、口が軽いのを自覚しているらしい。
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