ラブゲーム
 田所の案内で、俺たちはシックな感じのバーへ行き、カウンターではなくテーブル席に座った。速水と田所が並んで座り、速水の正面に俺だ。

「いい感じの店だろ?」

「おお、田所にしては上出来だよ」

「なんだよ、それはよ……」

 3人ともスコッチの水割りをオーダーし、グラスをカチンと合わせ、「お疲れー」と言って琥珀色の液体を喉に流し込んだ。モルトを味わうのはずいぶん久しぶりだと思う。

「僕から話を始めていいですか?」

 そう切り出したのは速水だった。

「ああ、いいよ。速水が言い出しっぺだからな。俺も聞きたい事や言いたい事はあるが、なるべく口を挟まないようにするよ」

 そう言って田所は、俺にジロッて感じの視線を向けた。速水も終始俺を睨んでおり、なんだか2人から説教されそうな雰囲気だ。

「お、俺もいいよ」

 その雰囲気に気圧されて、俺もそう続けた。速水に文句を言ってやりたいが、まずは奴の話を聞いてからでもいいだろう。

「2人ともありがとう。では早速だけど、三浦君」

「お、おお」

「僕は君に、失望した」
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