ラブゲーム
「嘘だろ? そんなわけない。俺とふゆみは、今まで口を聞いた事もなかったんだぜ?
 初めは態度悪かったし、好きどころか、むしろ……」

 と言ったところで、速水から、”ストップ!”って感じで手で制されてしまい、俺は口を閉ざした。

 ちなみに、うっかり”ふゆみ”と言ってしまったが、速水も田所もそこは突っ込んでこなかった。上原や岡野とは違って。

「田所君はかなり解っていそうだから、君から説明してみないか?」

「いいのか? 当てずっぽうだぜ?」

「構いません。僕が適時訂正しますから」

「そっか」

 田所は、ニヤニヤしながら俺を向いた。こいつ、俺をダシにして楽しもうとしてないか?

 俺はムッとしながらも、田所の”当てずっぽう”話を聞いてやる事にした。

「コホン。えーっと、桜井さんは入社の時からこいつ、いや、三浦の事が気になっていました」

 またまたあ、いい加減な事を言いやがって。何が入社の時からだよ、と思ったのだが、速水は”うんうん”って感じで頷いていた。マジか?
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