ラブゲーム
「そして頭の良い桜井さんは、わざと気のないフリをして三浦を煽り、こいつはまんまと恋に落ちた。以上だ」

 ドヤ顔は癪にさわるが、田所、おまえすごいよ。前に"分かっちゃったかも"なんて言ってたが、本当に分かってたんだな。しかも、俺がふゆみを好きになった事まで……

「田所君、合格!」

はあ?

「やったあ! 点数にしたら、何点かな?」

「80点です」

「えー。辛いなあ。訂正は1ヶ所だけだろ? 95点じゃねえの?」

「いいえ。桜井さんの事情に関する推理が曖昧でした。最も重要な部分ですから、大きな減点になります」

「そっか。なら仕方ないな」

 どうでもいいがこいつら、遊んでないか?

「桜井さんの事情を、ずばり言います。それは……結婚です」

「け、結婚!?」

 田所はびっくりしてるが、俺はもちろん驚かない。知ってるから。

「三浦君は驚かないんですね?」

「ああ。知ってたから」

「なるほど。桜井さんから聞いたんですね?」

「まあね。直接じゃなく、置き手紙だけど」

「置き手紙!?」

 速水と田所がハモッた。そんなに食いつくところか?

「三浦。おまえ、桜井さんとやったのか?」

「な、なんでそうなるんだ?」

「彼女、おまえの部屋に泊まったんだろ?」

「あ……」

 置き手紙でばれたか。だからこいつらは、大げさに反応したんだな。

「なるほど。桜井さんは目的、もしくは願いを叶えたわけですね?」

 え?

「とてもプライベートな事なので明かす予定はなかったのですが、非常に重要なので言いますね。桜井さんは、赤面しながら言ったのです。"初めては、好きな人としたい"と」

「ふゆみは、おまえにそんな事まで相談してたのか?」

「三浦君。そこは重要なところではありません」

「あ、わかった。ふゆみは俺の事、好きなんだ……」

「重要じゃないとは言いませんが、今さらですか?」

 うっ。前に田所にも言われたな。俺は鈍感だって。

「まだ分かりませんか? どこが、もしくは何が重要かを」

「……わからない」

「三浦君。不合格!」
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