ラブゲーム
 ふゆみは俯き、今にも泣き出しそうだし、ご両親も悲しそうな顔をし、辺りは重苦しい空気に包まれた。

 さっきのふゆみの言葉は、どんな意味だったのだろうか。

「やっぱり、そういう事なのね。お母さんは、悲しいわ」

「お父さんも悲しいし、残念だよ、ふゆみ?」

 と言われても、俺にはさっぱりなわけで……

「三浦さん」

「あ、はい」

 お母さんが俺を向いた。俺、声に出しちゃったのかな。

「ふゆみちゃんは、私の亡くなった姉の、忘れ形見なんです」

「えっ?」

「これ、おまえ、その話は……」

「いいえ、三浦さんにはお話したいの。ふゆみちゃんの事を、もっと知っていただきたいから。三浦さんは、ふゆみちゃんから聞いていないのでしょ?」

「あ、はい。ふゆみは、家の事はあまり話したくないと……」

「言ったんですか? ふゆみちゃんが?」

 俺は控えめに"あまり"と言ったのだが、それでもお母さんには十分堪えたようで、見る間に泣き出してしまった。

 今のは言うべきじゃなかった、と後悔したが、もはや後の祭りだ。

「ほら、これを使いなさい」

 すかさず、お父さんが白いハンカチをお母さんに渡すと、今度は隣でふゆみが、鼻をすすり始めた。
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