好きでいてもいいですか?

不器用な想い



その後のことは、よく覚えていない。


気づいたら私は自分の控え席にいて、気づいたら昼休憩が終わる時間になっていた。



「萌愛ちゃん、さっきからボーッとしてるけど大丈夫?もうすぐ借り人競争始まるよ?」


私の控え席の横の席になぜか座っている、悠真くんに話しかけられて、ようやく私は正気に戻る。


「え、うそ!?」


私がそういった時にはもう借り人競争は始まっていた。



第一走者、第二走者、第三走者、第四走者……と順調に借り人を探して走る私たちのクラス。


メガネをかけている人、国語の先生、髪の毛を縛っている人、ハチマキを頭に巻いている人……。


どのお題も簡単なものだった。


そして、アンカーは翔。


翔はお題が書かれた紙を引き、それを見た瞬間、動きが止まったような気がした。


でもそれはほんの一瞬で、翔はそこに書かれたお題に合う人を探し始める。


翔のお題、なんだったんだろう。


さっき一瞬、迷っているような感じがしていたから他のみんなと比べて難しいお題だったとか?


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