好きでいてもいいですか?



そうこうしている間に気づいたら翔は抜かされていて。


だけど、翔は立ち上がらなかった。


私の気持ちなんかじゃ、翔を動かすことなんてできっこないんだ……。


翔、ごめんね。今まで……ありがとう。


もう翔には近づかないから……。



そう、私が諦めかけていたときだった。


翔は手についた砂を払って、立ち上がった。


「……バカじゃねぇの」



そう言うと翔は走り出した。


さっきまで走れなかったんじゃないの?って疑うくらい翔はいつも通りに走っていて。


翔を抜かしていった他のクラスの走者をあっという間に抜いて、先頭でゴールテープを切った。



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